NAIN ナイン
QUM クム
ペルシャ絨毯の5大生産地
イランの紹介
ペルシャ絨毯はすべて天然素材の原料で作られているため、部屋の中に絨毯が1枚あるだけで、自然を感じられる素敵な空間が生まれます。同じものはない、世界に1枚の「最高の芸術品」です。 ペルシャ絨毯は、使い込むほどに風合いが良くなり、味のある色になっていきます。模様も彼ら作り手の生活や夢、信仰などを象徴し、様々な意味や文化を持っています。イランが伝統的産地ですが、イラン国内でも地方により様々な特色があります。 クム・ナイン・タブリーズ・イスファハン・カシャンなどが代表的な産地です。この5大生産地を今からご紹介します。 |
イランはアジアの南西部に位置し中東地域の最も東にあたります。北はカスピ海と新たに独立したアゼルバイジャンとトルクメニスタンという国があり、南にはペルシャ湾・オマーン海、西はトルコとイラク、東はアフガニスタンとパキスタンがあります。イランはその地理的な位置関係から極東と地中海およびヨーロッパの陸上交通の中継地として重要な役割を果たしてきました。
芸術や文化の歴史は古く、中でも手織りのペルシャ絨毯は長い歴史を持ち、世界で最もよく知られた芸術作品の1つです。日本でもペルシャ絨毯の美しいデザインや色彩に魅了される人が増えています。これから代表的なペルシャ絨毯の生産地をご紹介します。
TABRIZ タブリーズ
ESFAHAN イスファハン
KASHAN カシャン
イスファハンの東150キロにある人口約1万人の小さな街で、古くからの絨毯の産地。ブルーやベージュなどの落ち着いた配色が特徴で、藍染め、伊万里焼きの染め付けにも似た色合いで、日本人のファンも多い。
新しい絨毯生産地として、伝統的な文様を持っていないために、代わりに古典的意匠に集中している。メダリオン意匠がポピュラーで、フィールドはぎっしりと詰め込まれた複雑な文様で飾られています。装飾の背景の地色は概ね明るい色で、抑制のきいた地味な色が使われています。染料の品質は常に最高級品です。
テヘランの北西約600キロ。シルクロードの中継地として栄えた貿易都市、タブリーズは、早くから絨毯の産業も発達し、ロシア・コーカサス風の幾何学模様のほか、動物をアレンジした絵画的なものまで、多彩な柄のバリエーションは世界的にも高く評価されています。
モスクや宮殿の建物と四季を表した意匠がポピュラーです。地色は、赤・青・アイボリーが一般的。落ち着いた色調と小紋のような図柄は和室にもよく合います。
テヘランの南約130キロ、イスラム教の聖都の一つで、砂漠の中の街。シルク絨毯ではペルシャ第一を誇るクム。絨毯の産地としての歴史は比較的短く、20世紀初頭に始まりますが、各産地の技術やデザインも最良のものをとり入れ、様々な伝統的ラグの意匠の要素を組み合わせて独自な意匠を創造し、新しいペルシャ絨毯のスタイルを生み出しました。
クムのラグで一般的なのが、古典的な庭園意匠です。絵画的な絨毯では、鳥や動物また狩猟場面がデザインされています。また、絹の光沢に憧れる日本人の好みに最もフィットした絨毯と言えます。
テヘランの南約350キロにあるオアシスの都市。ペルシャ絨毯の代表格といえば、なんといっても“イスファハン産”。
16世紀末、ペルシャ文化の黄金時代を築いたサファヴィー朝のアッバース王が、古都イスファハンを新しい帝都とし、壮大な建築物で飾りました。芸術の都にふさわしく、端正なフォルムと、鮮やかなブルーや赤などの洗練された美しい色彩が特徴。
デザインは、左右対象のものが多く、鳥や、生命の樹、花瓶、礼拝用アーチが最も人気のある文様です。ベースは、白・紺・ベージュ・焦茶の伝統色でありながら、その配分によって新しさを出しています。
ペルシャ絨毯のサブボーダー部に銘が織り込まれているものがありますが、これは多くの場合「工房名」で誇り高い職人の魂が織り込まれているのです。
テヘランよりクムを経由して南へ260km離れた乾燥地帯で古くから絨毯、絹織物、陶器、タイル等の伝統工芸の町です。サファヴィー朝の2世紀に栄え、西洋にも広く知られていました。乾燥地帯でその他に産業が無いため、保守的で禁欲的であり、伝統を重んじる人々(カシャーニ)である。
それ故に、絨毯のデザインも古典的なパターンを守り続けており、今尚、世界的に息の長い人気を得ています。